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研究代表者挨拶

ご挨拶

厚生労働省厚生科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業))運動失調症の医療基盤に関する調査研究(H29-難治等(難)-一般-009)
研究代表者
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 理事長
水澤英洋

本研究班は、わが国の難病研究の中でも長い伝統のある厚生労働科学研究費補助金の特定疾患調査研究事業、特定疾患対策研究事業、難治性疾患克服研究事業「運動失調症に関する調査研究」の伝統を引き継ぐものである。2014年度から、それまで1つだった研究班が医療基盤研究(政策研究)と実用化研究に大別され、さらに後者の実用化研究は2015年度からは同年度に設立された日本医療研究開発機構(AMED)に移管されている。

厚生労働科学研究費による研究としての、医療基盤に関する調査研究班の業務は、対象疾患の疫学的調査研究、診断基準や診療指針の策定、バイオマーカーに関する臨床研究などと定められている。本研究班でも、まず日本神経学会との共同事業として「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の診療ガイドライン」の作成、孤発性脊髄小脳変性症の中で多系統萎縮症でないものとしての皮質性小脳萎縮症の実態調査と診断基準の作成、客観的・定量的診察〜検査法の開発などをめざして活動している。

ガイドラインは各方面のご意見聴取にやや時間が掛かったが、すでに出版社にて編集が進んでおり、まもなく発刊されると期待している。また、診療の前提となる診断の確定に必須の遺伝子検査については、全国をカバーする臨床研究のコンソーシアムであるJ-CATを立ち上げ、班員のご協力の下に無料にて検査を引き受けて実施し結果を報告するシステムを稼働させた。現在、1ヶ月に40件ほどの新規登録がありすでに450例を超えている。研究費さえ確保できれば、自然歴調査も可能な設計になっており、多くの研究者の皆さんに活用していただきたい。

病態解明や治療法の開発を担当する実用化研究とは不可分の関係であるが、多くのプロジェクトを包括する従来型の班研究は2015年度までで終了し、AMEDではテーマ毎の小グループによる個別研究が進められている。したがって、合同班会議という形ではないが、本研究班の班会議にできる限り連絡して参加をお願いしている。また、これまで小脳研究会をサポートし班会議終了後に基礎研究と臨床面からの講演による学術集会を開催すると共に、全国SCD・MSA友の会ならびに他の患者会の皆様にもお声がけして班会議に参加をお願いしている。患者・家族、医師・研究者、行政、企業など関係者が一致団結して運動失調症の克服に向けて努力することで、一日も早くその日が来ることを祈念する次第である。

2018(平成30)年4月吉日

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